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「大阪しゃれ言葉」の連載にあたって
                経営活性化委員会委員長    二村 知子
 大阪独特のやわらかい言い回し、それでいて、主張は通さねばならない上方ならではの商売人の智慧としてよく使われていた「大阪しゃれ言葉」
 その冊子の企画を提案し、昨年十月から、毎日新聞の余録を書かれた方にお話を聞かせていただいたり、木津川計さんや、大阪ことばの研究をされている著名人に、お会いし、情報の収集をしてまいりました。
 そんな中で、大阪商工会議所の地域活性化の方から、大阪しゃれ言葉に詳しい和田哲株式会社の和田亮介会長をご紹介いただきました。上方の文化のひとつとして残っていた大阪のしゃれ言葉の本が、このまま無くなっていってしまうのは、寂しいと思う気持ちと、お客様の要望をかなえてさしあげるためにも伝承していけたらと、お話させていただく中で、そのことを、理解し、また共感して下さいました。
 大阪書店組合だよりと、大阪書店組合のホームページへの「大阪しゃれ言葉」の連載を、恐縮しながらも、お願いしたところ快諾して下さいました。
 今年は、国民読書年であり、読者からの要望のあった、「大阪しゃれ言葉」の冊子作りの一案として、そのしゃれ言葉の成り立ちなども含めこれから、和田亮介会長に執筆していただきますので、お楽しみに。
 

(執筆をお願いしました和田氏のご希望で縦書きで掲載しておりますが、IE以外のブラウザをお使いの方には横書きで表示されます。)


大阪しゃれことば その5


「粋な黒塀見越しの松に・・・。」
ご存知、春日八郎の『お富さん』だ。

「近頃の電車の中の高校生、大声あげてギャアギャア騒ぎやがって・・・落ち着いて本も読めやしない。」
「若い子だけじゃないよ。汚い声で、あたりかまわぬ大阪のオバチャンのお喋り、まったく<見越しの松>や。」
「それナニ?」
「<前栽(せんざい)(庭先)の松ノ木で、閉口(=塀を超えてる)>だ。」

「お屋敷のお富さんも困ってるやろ。」
<手水鉢の金魚>やな。」
「?」
「さぞ癪(=杓)にさわってるやろな、と同情しとるのや。」
「何せ最近<池の端のずいき>が多うなったさかいナ。」
「いけ図々しい?」
「その通り。お前さん、近頃洒落が分かるようになったな。ほんなら<植木屋の庭>とかけて・・・。」
「気(=木)が多い。」





和田亮介