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お勧め本 書店組合がお勧めする、一押しの本
バカの壁
バカの壁
バカの壁

ISBN:4106100037
出版社:新潮新書
著者:養老孟司
税込価格:714円
推薦書店:清風堂書店

本書に接するに当たって、二つの抵抗がありました。
一つは、ベストセラーもの(皆が見ている)へのものです。
自分はもっと良いものを探すぞという。いつもこの種の本は文庫になってから読んでいるのです。しかし、今回は新書なので。二つはタイトルです。我自身のバカを暴かれるような。しかし、仕事に対して閉塞感が漂っていまして、新しい企画が出ない。ちょっと目先の違うものが欲しかったのでしょうか。手がいってしまいました。2時間があっという間でした。
「『話せばわかる』なんて大うそ」とコシマキ(業界用語・帯・表紙カバーに巻いてある)にありました。袖(カバー折込・表2)には「イタズラ小僧と父親、イスラム原理主義者と米国、若者と老人は、なぜお互いに話が通じないのか。そこに『バカの壁』が立ちはだかっているからである」と記しています。
本文中では興味関心の違う二人が話し合っても理解し合えない、と読み取りました。著者:は一元論者・二元論者で説明しています。①個性化について。脳は個性化を求めるのではなくて、常に共通性を追求しているそうです。個性は元々身体に宿っているのだとも。もちろん変化するとも。だから脳に個性化を要求してもそれは元々筋違いである、と理解し
ました。「万物は流転するが、『万物は流転する』という言葉は流転しない。それは、情報は流転しない、ということなのです」。言葉は情報であるということでしょうか。②情報化社会は言いかえれば意識中心社会、脳化社会だそうです。意識中心とは、日々刻々と変化している生き物である自分自身が、「情報」と化してしまっている状態を指す。
意識は自己同一性を追求するから、「昨日の私と今日の私は同じ」「私は私」と言い続けます。これが近代的個人の発生です。と述べています。
近代的個人というのは、つまり己を情報だと規定する事。
本当は常に変化=流転していて生老病死を抱えているのに、「私は私」と同一性を主張したとたんに自分自身が情報と化してしまう。だからこそ人は「個性」を主張するのです。
自分には変わらない特性がある。それは明日もあさっても変わらない。その思い込みがなくては、「個性は存在する」と言えないはずです。と。教育論もあります。
③「このニューラル・ネットの学習曲線(引用略)は、子供が字を憶える時の学習曲線とほぼ同じだということが分っています。子供が100%文字を憶えるまでの学習曲線は、単純な右肩上がりの曲線ではなく、いったん下がって、また上がる、という特徴があります」
赤ん坊の脳。母国語が流れてくると、左脳に血液が集まるが、そのテープを逆回しすると何とほとんど血液が集まらない」(フランスでの実験)最後に著者:は次のように結んでいます。経済を「実」と「虚」に分ける考え方(引用略)は、これまでに述べた「意識と無意識」「都市と田舎」(いずれも引用略)「脳と身体」といった二元論に似ている。現代世界の3分の2は、一元論者(宗教を引用している)である。21世紀こそは一元論の世界にならないで欲しい。男がいれば女もいる、でいいわけです。超・長くなってしまった。さっと読めた筈なのに理解度が薄いという事でもある。お陰で、夜は良く眠れたが、企画はなかなか出ませんね。
| お勧め本::フィクション・文芸・小説など | 2009.01.04. Sunday 11:30 PM |