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週刊朝日さま、発売日を守ってください。

「週刊朝日」 発売日に関する問題

 隣の店が人参や大根と同じく 『鮮度がだいじ』 と発売日より一日早く週刊誌を売るとどうなるか、 発売日を守っている店は当然売り上げが下がり公正な商道徳が崩壊します。 雑誌発売日励行に関する協約は 「同一地区同時発売」 を原則として昭和46年に制定され昭和56年の改定を経て現在に至っています。
 現在では日本雑誌協会、 日本出版取次協会、 日本書店商業組合、 即売業者で組織する雑誌発売日励行委員会が 「雑誌発売日の励行」 を定めています。 発売日を決めるのも契約にもとづいてペナルティを課せられるのも出版社に与えられていることからとりわけ出版社の責任は重大です。 かつて小学館の相賀徹夫氏 (昭和56年雑誌発売日励行委員会本部委員長) は 「このことを理解しない者はこの業界から去れ」 という旨の発言をされていたと聞いています。


 ところが朝日新聞社は 「新聞社系週刊誌は速報性がだいじ」 として発売日の励行に背を向ける態度を表明しました (昨年11月20日)。 当組合はその姿勢に対し質問をおこないました。
 6月30日付で朝日新聞出版本部から当組合の質問に対し回答が寄せられました。 両文を組合だよりで全文発表したいとおもいます。 またそれに対する再質問もあわせてお読み下さい。
大阪府書店商業組合から朝日新聞社への質問
朝日新聞社出版本部から大阪府書店商業組合への回答
再び大阪府書店商業組合から朝日新聞社へ質問する

大阪府書店商業組合から朝日新聞社への質問

 貴社出版本部は、 日本書店商業組合連合会並びに同・雑誌発売日委員会の要請を受けた雑誌発売日励行本部委員会 (以下、 本部委員会という) が 「雑誌発売日諸問題解決に向けた対応のお願い」 (平成14年7月18日付け文書) をもって貴社に 「雑誌発売日励行に関する協約」 (以下、 協約という) の遵守に関する要望したことに対して、 2002年11月20日付けで 「新聞社系週刊誌の発売について」 (以下、 11・20文書という) との回答がされました。
 この件につき、 本組合並びに本雑誌発売日委員会は以下の通り、 些かの疑念を持ちお尋ねする次第です。 真摯で責任ある回答をお願い致します。

一、 貴社もお認めなるように 「長年にわたって現在のような販売スタイルを継続」 (11・20文書第三項) されています。 雑誌発売日励行本部並びに同・実行合同委員会議事録 (以下、 議事録という) によれば、 昭和58年6月28日の本部委員会において当時継続審議となっていた新聞社系週刊誌の同一地区同一販売の問題について、 新聞社系出版社の内山委員が新聞五社会で検討する事を約されました。 これを受けて、 昭和58年7月24日付議事録によれば、 新聞社系週刊誌発売問題小委員会 (以下、 小委員会という) は雑協三名、 取協三名、 鉄道弘済会1名、 日書連3名、 即売2名、 当該新聞社数名の構成とすると決定され、 昭和59年8月8日に第1回小委員会を開催 (昭和59年9月18日付け議事録) 以来、 昭和60年2月21日の第六回小委員会 (昭和60年2月26日付け議事録) まで開催されました。 しかし第四回小委員会より新聞社系出版社委員の出席がないことを受け、 「根本的解決は望めない」 (昭和60年2月26日付け議事録) ことから小委員会の開催は今日まで中断され、 早売り問題は放置されたままになっています。


二、 以上の経過を踏まえて、 貴社の社会的責任についてお尋ねいたします。
 社会的責任とは社会に与えた 「責任」 です。 社会が変化するものである以上、 「社会的責任」 が絶対的・普遍的なものと理解されているからでしょう。
 また、 社会的責任には二種類あります。
 第一は社会の 「ためにとった行動」 の責任です。 第二は社会に 「対してとった行動」 の責任です。


三、 先ず新聞社系週刊誌の社会のために果たしている責任について考えてみます。
 おおよそ報道には三種類の報道があると言われています。 第一はニュースで、 事実の報道です。 おもな伝達機能はTV・ラジオ・インターネットなどの電波 (電子) メディアが果たしています。 第二はサマリーです。 通常は要約と訳しますが、 因果関係・背景説明 (ブリーフィング) を整理してニュースの奥行きを説明しています。 主に新聞・週刊誌を中心とする活字媒体が果たしています。 第三はコメンタリーです。 論評と訳されますが、 新聞では論説がこれに当たるようです。 本来のコメンタリーは高い専門知識と深い洞察力で書かれた評論・論文・政策提言とも分類されるものです。 伝達メディアは週刊誌・月刊誌が主たるものになります。
 週刊誌に対する読者ニーズが速報性にあるとするならば、 電波メディアによって淘汰されたはずです。 かつて活字メディアが報道の全てであった時代には週刊誌にも速報性が求められていました。 現在の読者は雑誌に求めているものがサマリーやコメンタリーである事から、 三つの報道カテゴリーが共存しているのです。
 ことさらに新聞社系週刊誌が協約の趣旨を否定せず尊重する (11・20文書第一項) が、 遵守しないという理由は11・20文書の第三項に 「ニュース週刊誌」 と自己規定する点にあります。 他の雑誌系週刊誌との差異性を 「ニュース週刊誌としての特性」 と語っています。
 あえて他の雑誌系週刊誌との差異を語る理由を考えてみると、 協約による 「同一地区・同一販売」 を行うことで読者価値を保持しなければならない 「娯楽性」 を特性にした雑誌系週刊誌とは異なるとの認識が根底にあるのではないでしょうか。
「ニュース週刊誌としての特性を保持」 する 「新聞系週刊誌は長年にわたって現在のような販売スタイルを継続し」 (11・20文書第三項)、 今後もこの姿勢を保持し続けるとの表明は自らのよって立つ地平が 「報道性」 であって、 「娯楽性」 ではないとの差別意識の現われと見なす事が出来ます。
 社会から速報性を求められているのは電波メディアであって、 百歩譲っても新聞までと考えられます。 新聞系週刊誌であれ、 雑誌系週刊誌であれ週刊誌に求められているのはより深化した記事、 つまりサマリーやコメンタリーであることから早売りが 「読者の利益にかなう」 (11・20文章第二項) とは言いがたいのではないでしょうか。
 以上見たように、 新聞社系週刊誌にあるのは報道性であって速報性ではないのです。 「ニュース週刊誌」 と自己規定することで報道性を速報性と巧みな論理のすり替えが行なわれています。 論理の飛躍と言葉のすり替えによって新聞社系週刊誌を 「可能な限り早くお客様に読んでいただきたい商品」 (11・20文書第二項) と結論づけているのです。


四、 目的を実現する責任を果たす為に、 「社会に対する行為」 によって生じた問題も企業の責任となります。
 協約に拘束されず駅売店等への独自の新聞配送ルートによる早売りは、 発売日協定を遵守する社会の機能を不全にする行為です。 取次――書店のルートで販売される週刊朝日は約30%程度だと仄聞しています。 駅売店が近隣になく、 書店からのみによって購読するお客様に対する差別販売となります。 同一地域において発売日に異同があり、 前週の商品を購読させられたお客様は不利益を蒙ったことになります。 約30%のお客様に購入場所の違いで不平等・不利益を生じさせる新聞社系週刊誌に、 昨今頻発する企業犯罪に対し法令遵守 (コンプライアンス) を求める資格はないと考えます。
 以下、 チッソ水俣公害事件を例に考えてみます。
 チッソ水俣工場は化学肥料の生産により食糧増産の責任を果たしていました。 しかしチッソ工場から排出された廃液が公害を引き起こし、 永らくその責任を認めませんでした。 つまりチッソには経済要請の実現の責任と公害を引き起こした社会秩序破戒の責任があったのです。 チッソは公害の因果関係を知りえなかったから、 過去に遡って企業責任はないと主張しました。 つまり故意ではないとの主張でした。 これに対し朝日新聞社はチッソの社会的責任を追求する急先鋒であったことは周知の事です。
 他者に対して、 社会責任を追及される貴社は自らの週刊誌が引き起こしている不平等・不利益に対してどのように説明をされるのでしょうか。


五、 過去に遡って新聞に速報性が求められていたこと (=正当であった事) を受けて、 その新聞社が発行する週刊誌に速報性が社会から認知されているとするには論理の飛躍があります。 週刊誌という発行形態には速報性がないことは自明の理です。
 昭和58年の議事録に残された事実から見ても、 話し合いによって問題解決を図ろうとせず、 一方的ボイコットによる問題にたいする不作為はチッソの対応と何ら変わることはありません。 過去に遡って自己の正当性を主張されるのは、 系図を以て出自の正統性を主張する前近代的血統論です。 更に、 社会が変化していく事は大多数の人達が認めるところであるにもかかわらず、 自らが変わることがないと宣言されるのは、 相対的に見て 「退化」 する事を認めたことです。
 以上のことから貴社の表明された11・20文書は近代合理主義による批判精神によって書かれたものとは言い難いと思っています。 是非とも貴社の明快なご回答を待つものです。

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朝日新聞社出版本部から大阪府書店商業組合への回答

 わたくしどもが2002年11月20日付け文書 (以下、 11・20文書) でお示しした考え方に対し、 貴組合ならびに貴委員会から2003年5月26日付けで質問書を頂戴いたしました。 これに対し、 以下の通り回答いたします。

一、 週刊朝日には速報性がない、 との点について
「新聞社系週刊誌にあるのは報道性であって速報性ではない」 とのご指摘ですが、 週刊朝日は、 速報性も報道性も、 さらには娯楽性も備えていると考えております。 しかしながら、 雑誌にはそれぞれに特徴やセールスポイントがあり、 週刊朝日の場合は特に速報性を重視しているつもりです。 だからこそ、 校了間際に飛び込んでくる重大ニュースにも出来うる限りの対応をしております。
 そもそも現代において週刊誌に速報性はない、 「電波メディアによって淘汰されたはず」 との考え方はご意見としては拝聴いたしますが、 わたくしどもとは見解を異にいたします。 確かに、 第一報としてのスピードは他媒体に譲りますが、 詳報性、 一覧性、 評論性、 携帯性なども兼ね備えた週刊誌という媒体としての速報性は以前として有効であると考えております。 「淘汰された」 とはとても思えませんし、 こうした観点から、 いち早く入手し読みたいという読者ニーズは確実に存在すると思っております。
 11・20文書において、 「速報性に特に重きを置く新聞社系週刊誌」 という表現にさせていただいたのは、 上記のような理由からです。


二、 (週刊朝日の) 早売りは発売日協定を遵守する社会の機能を不全にする行為、 との点について
 1981年に制定された 「雑誌発売日励行に関する協約」 (以下、 協約) について、 弊社は、 11・20文書でお示しした考え方から、 「雑誌発売日励行に関する契約書」 をいずれの一次卸とも締結しておりません。
 当時、 この協約が生まれるには、 コミック誌の早売りなど相応の社会的事情が背景にあったものと聞いております。 その意味で、 協約が果たした役割や効果を否定するものではもちろんありません。
 しかし、 協約を金科玉条のごとくみなし、 流通上の差異を考慮せず、 硬直的にすべての雑誌にあてはめなければならないとすることには賛同できません。 セールスポイントを異にする多様な商品、 多様な販売ルートが存在し、 その特長を生かした販売や流通を行うことは、 社会の変化の中で一層求められていくことでしょうし、 どの業界でも見られることです。 それがお客様に大きな混乱や不利益をもたらし、 公共的秩序の破壊につながるものであれば、 排除されるべきでありましょうが、 そうした事態を引き起こしているとは言えないと考えております。
 よって、 「社会の機能を不全にする行為」 とは認識いたしかねます。
 以上をもって回答とさせていただきますが、 趣旨をご賢察の上、 ご理解を賜りたく存じます。

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再び大阪府書店商業組合から朝日新聞社へ質問する

 貴社出版本部から、 本組合並びに本雑誌発売日委員会がお尋ねした平成15年5月26日付けの質問書に対し、 2003年6月30日付けで回答を頂戴しました。 この件につき尚疑念があり、 以下の通り再度質問いたします。


一、 週刊朝日には速報性がない、との点について」の疑問
 朝日新聞は、 「確かに、 第一報としてのスピードは他媒体に譲りますが」 と他媒体に比べて相対的にスピード性がないことは認めながら、 「速報性は依然として有効である」 と述べています。 そこでは、 速報性がどのようにして週刊誌に存在するのかの証明がされていません。
「詳報性、 一覧性、 評論性、 携帯性なども兼ね備えた週刊誌という媒体としての速報性」 と述べている事から 「詳報性、 一覧性、 評論性、 携帯性」 などの週刊誌を構成する要素に速報性が存在すると証明されたとするのでしょうか?
「携帯性」 とは週刊誌は冊子体であるため、 携帯からくる 「構成要素」 であって速報性に結び付くものではありません。 「詳報性、 一覧性、 評論性」 とは、 我々が朝日新聞に質した 「朝日新聞社の見解についての質問の中で論述した 「サマリー (要約)」、 「コメンタリー (論評)」 のことであり報道性を構成する要素、 概念と言ってよいでしょう。
 週刊誌が 「淘汰されなかった」 理由は 「詳報性、 一覧性、 評論性」 の報道性を具現化した結果である事を自ら証明されています。
 このように見てきたように、 何ら週刊誌に速報性があることを証明せず、 また早売りの理由を更に説明する為に、 「いち早く入手し読みたいという読者ニーズは確実に存在すると思っております」 と読者ニーズを持ち出し、 「早売り責任」 を転嫁ないしは回避しています。
 更に、 「速報性に特に重きを置く新聞社系週刊誌」 というあいまいな表現を持って 「早売り」 問題を糊塗しようとしています。
「速報性に特に重きを置く」 とは 「新聞社」 にかかる修飾節なのでしょうか? それとも 「週刊誌」 にかかるものなのでしょうか?
 週刊誌には速報性があることを証明されていない事から、 新聞 (社) に速報性があると述べておられるのでしょう。
 平たく言えば、 「速報性に特に重きを置く新聞社」 が出版する 「週刊誌」 だから 「読者ニーズ」 を満たす為に 「早売り」 を実施すると述べておられるに過ぎません。 「特に」 の文言に下線を引く事によって論点が下線部分にあるかのように見せるトリックでしかありません。


二、 (週刊朝日) 早売りは発売日協定を遵守する社会の機能を不全にする行為、 との点について」 の疑問
「セールスポイントを異にする多様な商品、 多様な販売ルートが存在し、 その特長を生かした販売や流通を行うことは、 社会の変化の中で一層求められていくことでしょうし、 どの業界でも見られることです」 と述べ 「流通の差異を考慮せず、 硬直的にすべての雑誌にあてはめなければならないとすることには賛同できません」 とし、 週刊誌は他のサービスを含む財物と同一視しています。
 新聞も週刊誌・雑誌も再販商品であることを議論の前提としなければ、 現実的な議論とならないことは著作物を商いするものとしては理解としなければなりません。
 おおよそ商品は、 自由競争=多様性がなければ販売されないものであることは百も承知しています。 自由競争とは価格の多様性、 品質の多様性、 利便性の多様性が保証されなければなりません。 著作物である限り、 例えば週刊朝日の○○号は同一内容であります。 特定の号は北海道で売られようとも、 沖縄で売られようとも同じ記事です。 ナショナルチェーンで売られようとも、 駅売店で売られようとも同様です。 また、 再販商品であるため同一価格で販売されます。 それ故、 売上を上げるため (=競争目的であるため) にはお客様への利便性を確保しなければなりません。 つまりこの場合には読者ニーズに応えることが競争に勝つ事であります。
 早売りが問題とされる点はこの利便性を各自が勝手に解釈することから発生しています。 お客さまの早く読みたいとの要望があるから、 より早く出版したいとの出版社の考えかたと同一地域の異なる書店、 売店では発売日が異なることを正当化することとは違ってきます。 何らかの理由で、 早売りをしている売店で購入できる読者と購入できない読者には不公平が発生します。
 つまり、 特定売店だけでのみ早売りが認められれば新しい号と前号を購読する読者が存在することになります。 特定売店にのみ早売りを認めることは、 知る権利を保証しようとする新聞社が差別的に新しい号を読む権利を阻害することになります。
 知る権利を阻害して、 早売りは公的秩序を破壊していないとするには無理があるのではないでしょうか?
 流通の多様性、 差異性を生かした販売をするとは、 WEB上であれ、 クリック&モルタルであれ、 書店であれ、 売店であれ、 コンビニであれ、 また紙であれIT機器上であれお客様への利便性を保証する事です。 新聞社が直送する売店のみ書店ルートより早く商品を搬送・販売することは流通の不公平性を多様性とする詭弁であります。
 近代商業は自由競争が原則です。
 自由の原則とは自分に自由を求めることは他者も自由な存在だと認めることです。 取引はこの原則によって成り立っています。 独自に配送する売店にのみ早く商品を配送することは、 他の取引業者に制限を与えることです。 新聞社の直送売店と書店ルートに不公平を強制する事は、 読者に不公平を押し付ける事です。 知る権利の保障としての出版・報道であるからこそ同一地域の同一雑誌販売は必要となります。
 雑誌・週刊誌のスピードの競争性とは何処にあるのでしょうか。 この競争性は競合他誌と比して、 より早く発行・販売する事にあるはずです。
 百歩譲って、 週刊誌の速報性があるとするならば、 次々起こる事件やニュースに対するクイック・レスポンス (=素早い対応) であって、 週刊誌の早売りではない筈です。
 以上見てきたように、 論理のすり替えを巧みに行い、 早売りに対して省みる事がないと認識いたしており、 到底貴社のご意見を理解できないものであります。

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